当事務所では、ご支援が難しかった事例だけでなく、実際に許可を取得できた事例についても、具体的な内容を交えてご紹介しております。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

状況
一般建設業許可の取得をご希望のお客様から、「銀行口座の残高が常に500万円あるわけではないので、資金要件を満たせないのではないか」というご相談をいただきました。月によって入出金の波があり、500万円を下回る時期もあるとのことで、許可取得自体を諦めかけておられました。
問題点
一般建設業許可の資金要件は、自己資本が500万円以上あることです。証明方法として一般的なのは、金融機関で「残高証明書」を取得し、500万円以上の残高があることを証明する方法ですが、この「残高証明書」という言葉から、「常に500万円をキープしておかなければならない」と誤解されている方が非常に多くいらっしゃいます。
当事務所の対応
お客様の状況を確認しながら、以下の点を整理してご説明しました。
①常時500万円をキープする必要はない
銀行残高証明書の有効期間は、証明日から30日間です。極端な話、ひと月のうち1日だけでも500万円を超えるタイミングがあれば、その日付で残高証明書を取得すれば要件を満たせます。常時500万円を維持しておく必要はありません。
②借入金・一時的な資金でも問題ない
「銀行からの借入れや、知人から一時的に借りたお金でも認められるか」というご質問もよくいただきます。人材紹介業・人材派遣業など、一部の許認可では負債としての資金調達が認められないケースもありますが、建設業許可においては、負債(借入金)であろうと資本(増資・出資)であろうと、資金の出所は問われません。
③そもそも残高証明書が不要なケースもある
残高証明書はあくまで証明方法の一つに過ぎません。貸借対照表の純資産の部の合計が500万円以上であれば、わざわざ残高証明書を取得する必要はありません。
法人の場合
資本金+繰越利益剰余金(これまでの利益・損失の積み上げ)の合計が500万円以上あればOK
個人事業主の場合
「元入金」+「青色申告所得控除前の所得金額」+「事業主借勘定」-「事業主貸勘定」の合計が500万円以上あればOK
今回のお客様も、決算書を確認したところ純資産の部が要件を満たしており、残高証明書を取得することなく資金要件をクリアすることができました。
教訓・アドバイス
資金要件でお悩みの方は、次の点をぜひ知っておいてください。
・500万円は「一時点」で証明できればよい:常時維持しておく必要はなく、証明日から30日間有効な残高証明書を、要件を満たすタイミングで取得すればOKです
・借入金でも資金要件はクリアできる:資金の出所(自己資金か借入金か)は問われません
・決算書の純資産で満たせないか、まず確認する:残高証明書を取得する前に、貸借対照表(個人の場合は確定申告書)を確認すれば、そもそも残高証明書自体が不要な場合があります
・法人を設立してすぐに許可を取得したい場合は、資本金を500万円以上に設定しておくのがもっともシンプルな方法です。資金要件を自動的にクリアできます
「500万円の残高が用意できない」「常に維持できるか不安」という段階で諦めてしまう方も少なくありません。しかし今回のケースのように、状況を正しく整理すれば要件を満たせることも多くあります。まずはお気軽にご相談ください。
